こちらのサイトは
について詳しく解説しています。
矯正治療を必要とする噛み合わせは幾つもありますが、その代表的な噛み合わせとして上顎前突があります。
上顎前突とはどのようなものなのでしょうか?
詳しく解説していきます。
Contents
1.上顎前突とは
上顎前突と言う不正咬合があります。
一般に言う出っ歯です。
芸能人で言えば、明石家 さんまさんがそうですね(さんまさんは自分の出っ歯を笑いにしているのでとりあげましたが)。
私が学んだ歯科矯正学講座では、前歯の出ている度合いが7mm(これを専門用語でオーバージェットと言います)のものを上顎前突と定義すると教わりました。
これはあくまで基準で、一般の人はそこまで厳密でなくて大丈夫だと思いますが。
矯正歯科医からみると芸能人には、軽度の上顎前突な人がいますがあまり日本人では矯正治療の対象とは考えられない習慣があるように感じます。
上顎前突になる原因には骨(骨格)が原因のものと歯が原因のものがあります(もしくはそれらの条件が組み合わされたもの)。
我々矯正歯科医は、矯正診断を行うときにレントゲン(セファロと呼ばれるもの)を使用して色々な診断を行いますが、それを簡単に模式図で表しますね。
1)骨(骨格)が原因の場合
①上あごの骨の位置(前にある、もしくは大きさが大きい)に問題がある時
この場合は、上あごの骨格に対してアプローチを行います。
多くの場合は後に詳しく解説するヘッドギアーを使用することが多いです(その他にも装置がありますが)。
②下あごの骨の位置(後ろにある、もしくは大きさが小さい)に問題がある時
この場合は下あごの骨格に対するアプローチを行います。
機能的矯正装置(FKOやバイオネーター)を使用することが多いです(その他にも装置がありますが)。
ただしYOU歯科においてはこれらの装置を使用することはありません(理由は3で詳しく説明しています)。
これらの骨格に問題がある場合は、成長期に治療を行うことになります。
また、あごに歯が並ぶ隙間が無い場合なども成長期に治療を行って歯がはえる隙間をつくる必要があります。
2)歯が原因の場合
①上あごの前歯が前に傾斜している時
歯だけの問題であれば、成長期に矯正治療を行うことはありませんが、抜歯をしないで治療を行おうと考える場合は歯を後ろに下げる隙間を作らなければならないので成長期の一部に治療を開始ます。
②下あごの前歯が後ろに傾斜している時
この場合は下あごの前歯を前側に移動する装置があまりありません。
専門的な話になりますが、リップバンパーや上顎前方牽引装置の口腔外装置を使用する場合はありますが。
実際に多くの矯正医は、上あごの前歯を後ろに下げて噛み合わせを作ることが多いと思います(私も極度に下あごの前歯が後ろに傾斜していない限りは上あごの前歯にアプローチすることが多いです)。
2.上顎前突で使用するヘッドギアーについて
成長過程である上顎前突のような人の治療に用いる矯正装置としてヘッドギアと言う調整装置があります。
この装置は多くの場合上顎の第一大臼歯にヘッドギアのアウターボウが入るバンドとチューブをつけてそこからエラスティック(弾性成分がある装置)をアウターボウにつけてお口の外である頭や首を固定して上を力をかけて後ろに下げることを狙う矯正装置です。
実際に使用している写真がこちらです。
アウターボウの写真がこちらです。
エラスティックを分解した状態がこちらです。
そして、頭のつける部分にエラスティックを装着した状態がこちらです。
最終的に実際に使用してもらうには最初の写真のような状態になります。
この装置はお口の外にあごを引っ張る装置が出ているので顎外矯正装置(がくがいきょうせいそうち)と呼ばれます。
また、あごの形を変える目的もあるので顎整形力矯正装置(がくせいけいりょくきょうせいそうち)とも呼ばれます。
この装置の特徴としては、使用時間が長くないと治療の効果が現れないと言うことです。
具体的な使用時間については、矯正歯科医の考えによりますが私自身は12時間を目標に使用してくださいとお話しをしています。
患者さんに説明する時は「8時間程度の使用ではあまり効果がありませんので」と言う補足を行います。
そのため、8時間以降の10時間位が実際の目標的な時間になると思われます。
12時間位使ってくれると装置の効果が非常に高いです。
YOU歯科では上顎前突で使用する最も多用する矯正装置がこのヘッドギアーになります。
3.ヘッドギアー以外に上顎前突で使用する矯正器具について
2の上顎前突の原因の所で説明していますが上あごの骨に問題がある場合はヘッドギアーを使用します。
しかし、下あごの骨に問題がある場合は機能的矯正装置と言う装置を使用するしかありません。
このチャプターでは、機能的矯正装置について詳しく説明して行きます。
機能的矯正装置の代表例です。
FKO
この他にも矯正装置がありますが、メジャーな矯正装置はこのあたりでしょう。
YOU歯科ではFKOは使用しません。
理由は、このFKOは下あごを前に出す噛み合わせにして下あごの成長を促す装置なのですが、成長期と言えど下あごの関節に予想がつかない力をかける可能性がある為です(その為、写真は本より引用させていただきました)。
下顎前突の治療でチンキャップと言う装置がありあますが、この装置も下あごの関節に力がかかるので使用していませんがこれも同じ理由です。
YOU歯科 院長 日本矯正歯科学会認定医 石井 教生(歯学博士)