今回は矯正治療の期間について、特に上顎前突と下顎前突の治療期間の違いについて詳しく説明して行きます。
もちろん噛み合わせが悪い状態がどの程度問題があるのか?という問題はあります(これは矯正医が判断する問題なので一般の人たちが判断するのは難しいと考えるので詳しく説明しません)。
どのような不正咬合でも程度が重度であれば治療期間は長くなります。
どの程度かを一般の人たちが判断するのは難しいでしょう。
その為、今回は一般的に上顎前突と下顎前突での治療期間が異なる理由について説明します。
よく私が書く絵をご覧ください。
①と②どちらが大人でどちらが子供でしょうか?
これはどこが違うのでしょうか?
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回答を示しますね。
もちろん①のような大人もいますが②のような子供はいませんよね?
答えは成長したほうが下あごが成長するのです。
上あごの骨と下あごの骨とでは成長様式が異なるためです。
人は脳が非常に発達した動物なので、子供の頃からのがある程度の大きさなのです(生まれた時から脳の大きさがある程度成熟した状態です)。。
上あごは脳とつながっています(色々な骨を介在していますが)。
ところが最初の絵を見ていただいてわかるように、下あごの方がその後に大きな成長量があります。
下あごは身長などが伸びてくるに従いした後も伸びてくるという成長様式をとります。
そのため、上顎前突の場合は、成長によって(下あごが大きくなるので)ある程度改善される可能性がありますが、下顎前突の場合は成長によりより悪くなる可能性が高いのです(上あごはあまり成長せず下あごが成長するので)。
これによって、下顎前突と上顎前突では治療を開始する時期に差が出てしまいます。
骨に問題がある場合(歯を並べる隙間が無い場合も)には、通常下顎前突が上顎前突よりも若干早い治療開始時期になります。
目安としては、上あごの前歯が4本揃った時に(8~9歳位)治療を開始することが多いです。
上顎前突の場合は、それより1~2年遅くても問題ない場合が多いです(これはあくまで目安なので矯正医にみて貰った方が良いですが)。
素人の方が矯正治療の必要性を判断するのはなかなか難しいものがあります(将来しっかりと歯がはえる隙間があるかどうか一般の人では判断が出来ないですよね?)。
我々、矯正医ははえてくる歯の大きさを予測したり、性別および年齢、噛み合わせの状態などを考慮して矯正治療の期間を総合的に決めています。
YOU歯科 院長 日本矯正歯科学会 認定医 石井 教生(歯学博士)